エルヴィン・トーマさん講演会 追加のQ&A

追加のQ&A

皆様から頂いた質問の中で、講演会で取り上げられなかった質問に対するお答えをいただきました。

質問を押すと回答が開いたり閉じたりします。

最後に写真ギャラリーがありますので、小さい建物から大きい建物まで、お楽しみください。

Q1. 水の相(個相、液相、気相)に加えて、第4の相がバイオリズムの関係しているというお話に関連して、月の位置(地球の周りを公転している)との関係はあるのでしょうか?

もちろん、木は生き物であり、他のすべての生物と同様に、地球のリズムに依存しています。月と地球の繋がり(互いに影響を与えたり受けたりしている関係)は必ずあるので、その位置も関係していると考えるのが妥当でしょう。また、人間の文化の経験的知識から多くのことを知っていることも確かです。全ての出来事についての科学的な解明は、まだ一部不足しています。

Q2. 第4の水は磁性体だから自然の理を記憶しているということでしょうか?

エルヴィンさんから亜希子さんに答えて頂くようにとのことでした。

亜希子さんからのコメントです:

水が磁性体だから自然の理を記憶している、というとらえ方は面白いとらえ方だとはおもうのですが、磁性体であるのは私たちの生きている地球と宇宙全体に言える事(フィールドそのものが磁性を帯びている)なので、磁性体であることは記憶の伝達にとっての条件ではあると思いますが、それは条件ではありますが、情報の伝達には水、という媒体そのものが必要であると思います。水は地球だけでなく、宇宙中に一番多く存在している存在であり、水には他の物質と比べて、アノマリー(普通の定説が通用しない特性)がとても多くあり、それが何故か、についてはいくら科学が発達した現在でも全てを解明することはできません。しかし、この謎があり、この不思議な性質があるお蔭で、命というものは存在することが出来ています。そういう意味で、水が水だから故に自然の理を記憶している、というのがもっと妥当な答えだと思います。 水は全ての生命活動の源であり、命そのものだ、そして水には情報を記憶する力、情報を保存する力、そして情報を伝達する力を全て備え持ち合わせている(この事は江本勝氏、ジェラルド・ポラック博士、ジャック・ベンベニスト博士、リュック・モンタニエ博士ら研究や発見により、科学的に全て証明された事実であるというのが、最新の水研究の土台になっています)から、もちろん生命が始まって以来、全ての記憶は水の中に保存され、それが今もなおいろんな形で発展や進化を続けているその仕組みだと私は考えています。水がどのようなシステム(仕組み)を使って情報記憶をしているか、という事については、講演の中でも言及がありましたが、ポラック博士の第4の水の相(個体・液体・気体を超えて)を読んでいただくと一番よくわかりますが、(絶版になっているという事でしたので)私の推薦は、水からの伝言・ザファイナルを読んでいただきたいと思います。この本には、江本勝の水への考えだけでなく、ポラック博士とリュック・モンタニエ博士の研究内容をとても分かりやすくまとめた要約が日本語で読むことが出来ます!(ちなみに第7章では、私の結晶写真のレポートも載っています!)

『水からの伝言・ザファイナル』

Q3. 新月伐採の木材はさまざまな利点があるそうですが、その化学的な理由とメカニズムを教えていただきたいです。

何よりも、菌類や昆虫の餌となる成分が少ない。また、構造も緻密です。モンドホルツはEZ水分(第4の水の割合)が多いため、乾燥時に収縮することがわかっています。つまり、より収縮し、結果として木材の密度が高くなるのです。これは例えば楽器に使う木材(トーンウッド)にとって非常に重要だ。木材の振動は密度に強く依存します。

Q4. 伐採時期について。満月から新月の2週間位ということでしたが、本「木とつきあう智  恵」の中で推奨できるのは、1~2日程度とかなり限定的で、その日も12月初から1月終わりの2か月にばらけていたので、どのように決めているかわかりませんでした。どのような基準で決めているのでしょうか?

基本的なルールは、まず樹液が休息する時期であること。だから、北半球の温暖な気候で冬がある国では、冬になる。ここオーストリアでは10月から1月、高山では2月まで。

そして、月が欠けていく時期に伐採すること。このタイミングは各月に2週間ある。ここまでの内容は科学的に証明され、根拠がある。この木材は化学的な防腐剤を使わなくても耐久性があり、長持ちする。また、日本古来の寺院のために木材が伐採されたルールにも合致している。

さらに、バイオリン製作者のように、特別な目的のために日を指定することもある。これは特定の星座の日である。例えば乙女座や山羊座などである。しかし、この最後のルールには科学的根拠が(今の段階で)ない。これは純粋に伝統的なものですが、特に工芸品や中小企業の分野では何度も使われているものです。通常の木材の場合(建材として加工する場合)、最初の2つのルールを適用することは非常に有効で十分である。

※参考資料として『モンドホルツのカレンダー』 トーマ・ホルツ社HPより

Q5. 切り出しから施工終了までどのくらいの期間と費用がかかりますか?

私たちは指定された時期に木材を伐採し、森林から製材所まで徐々に運び、そこで板や柱に切り出す。この製材された木材は、平均1~2年間保管され、風乾される。その後、家を建てるのに使われる。 トーマ社のHolz100住宅は、冷暖房一体型(つまりこの家に住む場合、光熱費がなくなる、という意味)で、電力網からのエネルギー供給は必要なく、石油やガスなどの供給も必要ない。つまり、現状の家の費用と単純に比較することはできない。家を建てるのにかかるコストは他の家の場合割安だが、生活する段階で、冷暖房などの空調に多大な設置価格がかかるし、維持費も毎月の負担として加算される。この点を考慮して、最終的なコストを比較しないと正しい比較にはならない、という事を言及させてください。この上で、わが社の(活性コンポーネントを導入したトーマハウス(これは当時の技術には含まれていなかったので、現在日本にはまだどこにも建築されていません)の総合施工費は、建具にもよるが、完成した居住空間1平方メートルあたり4000~5000ユーロである。

Q6. 使用する木材に種類は関係ありますか?(中学校の校舎にどうかと)

接着剤を使わない機械的な接合技術により、一般的な針葉樹はもちろん、広葉樹のほとんどを使用することができます。(日本の木材をもちろん利用することが出来ますし、そうするべきだと思います!!!)私たちが主に使うのは、欧州ですので、トウヒ、モミ、マツ、カラマツとなります。これらは私たちが家を建てる際に最も重要な樹種でもあります。また、ダボにはブナやトネリコなどの(固い質であることが大切)広葉樹を使います。

Q7. 新築のお家を建てることを考えて色々な工務店さんにお話を聞きに行っています。低温乾燥の木材が良いと聞きますが、ある工務店さんは低温乾燥の木材では一律に乾燥できないため木材によって強度が異なってしまったり、表面だけが乾いていて芯が生木の場合には、中が膨張して割れたりすることもあるなどお聞きしました。本当のところ、どうなのかお聞きしたいです。

芯が緑色で濡れていて、端が非常に乾燥している木材を加工する人がいるとしたら、その人は木工技術を習得していない。これは典型的な加工ミスであり、あってはならないことです。1年から2年かけて自然乾燥させる私たちの方法では、このような不具合は起こりませんし、私たちもそのような問題には気づいていません。モンドホルツはまた、品質にさらに良い影響を与えます。(乾燥過程で木材の密度が高くなる)

Q8.
オーストリア林業で新月伐採はどのような立ち位置にありますか?

オーストリアでは、季節的、月齢的に自然にのっとる伐採は多くの人に知られ、受け入れられているものなのでしょうか?

オーストリアの製材業界は非常にグローバル志向で、生産される木材のほとんどを数百万立方メートルの製材所で加工している。このような処理量では、モンドホルツ建材のような自然のリズムを取り入れる方法はほとんど考慮出来ていない、というのが現状です。(考慮する気がない、というのも理由でしょうが。。)そのため、この話題はオーストリアではよく知られてはいるのですが、その一方で、実際に実行している例は全体との割合をみるととてもマイナーです。 

Q9. オーストリアでは、新月伐採をしている林業家はどのくらいいますか?

林業家はモンドホルツ伐採にとても満足している。なぜなら、モンドホルツという特別な建材を入手する場合に5%か10%の付加価値がつくからです。(ただ需要と供給の仕組みで、需要がマイナーなので、供給する業者は少ない)したがって、買い手は限られている。オーストリアで最大の顧客は、我社、トーマ社です。年間5万から7万立方メートルのモンドホルツを入手して、加工しています。

Q10. トーマさんの好きな木はなんですか?それはなぜですか?

お気に入りの木は?私の子供たちのようなものです。どちらが優れているとは言い難い。

Q11. トーマさんの趣味はありますか?あったら教えてください。

私の好きな自由時間の過ごし方は、自然の中で、自然とともに過ごすことだ。毎年数週間を山で過ごし、そこで生活し、狩猟をして自分たちで食べる。  そして、妻の亜希子と一緒に農場で暮らしている。ここでは3頭の馬を飼っていて、世話をし、餌をやり、干し草を収穫している。ここゴルデッグにいるときは、ほとんど毎日馬と一緒に森に出かけ、田舎で多くの時間を過ごす。 

Q12. 木を組んでダボを入れただけで、中の組んだ木があばれないのが不思議です。何か技術(組み方とか)あるのでしょうか?

この件に関しては、先日ある日本からの企業の方からの質問にも似た内容があり、その解答の中から抜粋して回答します。

30年近く前にThoma社は建築仕様として存在しなかったようなタイプのシステムを確立して、無垢材をダボで組み合わせる事で丸太そのままを使ったような壁に近いエレメントを開発することに成功しました。(これがHolz100のエレメント)。日本でもDLTと言われる積層板エレメントはありますが、この建材は常に剛性強化の為に追加で補強しないと、建築材として採用することが出来ないのですが、このDLT積層板エレメントとHolz100のエレメントでは決定的な違いがあり、上記の質問はこの点にあると思います。

積層板エレメントとHolz100のエレメントは一見似たようなシステムの一番大きな違いは、次の点にあります。

DLTのような積層板エレメント:常に曲げに弱く、斜め方向でも剛性のあるパネルとして通用するエレメントでない

Holz100エレメント:Holz100 の各壁の芯には、80 mm 厚の柱が一層配置されています。つまり、従来のプレハブ産業の柱構造よりもはるかに多くの柱があるまるで柱構造のような積層エレメントである、という事です。また、斜めの層、水平および垂直の層によって、必要とされる剛性を達成することが出来ている訳です。これは実際に証明されていることで、建築を実行するときにも、剛性のあるパネルエレメントとして通用する為、剛性パネル材として計算することが可能です。この件に関しては多数の試験やラボテストが行われ、剛性および適用可能な荷重限界に関するすべての合法な技術データが揃っています。

Q13. モンドホルツ(の組材)を使えば防腐処理はいらないのでしょうか?
(講演会の中での質問では、モンドホルツであれば「塗料」を塗らなくて良いという事でした)

勿論です!!!防腐剤には体に良くないとされる成分が含まれていることがほとんどで、この防腐剤を使わない、という事は非常に大切な要素だと思います。モンドホルツであれば、防腐剤も同様に塗る必要がない、という回答で正解です!私たちの家の外壁も、テラスの床材(外で雨も降ってきますよ)はラーチのモンドホルツですが、全く無垢の状態で無加工のまま、ただの木の板がそのまま使われています。もちろん、色がだんだん変わっていくのですが(紫外線など)これも自然な事で、私たちはとても気に入っています。日本にも表面を焼いて逆に黒い状態にして外壁に使う杉焼とかの伝統がありますが、こちらでも似た事をする場合ありますよ!このアンケートはデッキに使う表面の話なので、杉焼板は向いていませんが、モンドホルツをつかってデッキを造ったら、そのまま無垢の状態でオッケーです。

P.S. エルヴィンが講演会の中でよく言及することなのですが、木造建築をするときの道具の中に 木材を加工する為の筆やブラシが出てきたら、木の事が分かっていないまま、木造建築をしているので、何かが間違っているというサイン!というエピソードをこっちでも良く話しています。

Q14.
木のいのちを活かす人の本来の在り方は?

薪風呂からいただく木のいのち、エネルギーの謎を知りたいです。薪や木炭で調理した美味しさの謎も。

自然との調和について教えていただけるとありがたいです。

私たち人間は、生きている世界全体の一部として完全に統合され、つながっている。そして私たちは、無意識のうちに常に周囲の環境と関わり合い、コミュニケーションをとっている。木、森、そして素材としての木は、特に私たちの無意識のコントロール、感情、大脳辺縁系に訴えかける。その結果、私たちの健康は強化され、免疫システムは活性化され、私たちは単に自然とのつながりの中で、それがない場合よりも健康でより良い生活を送ることができるのだ。樹木は太古の昔から私たち人類に寄り添ってきた。この親しみやすさは、囲炉裏で火を焚いたり、大樹の隣にある木造の寺院で瞑想したりするのと同じように、木造の家を通しても同じ効果がある

Q15.
日本では効率=経済性のロジックが巨大なため、仮に良いと思っても価格的な違いが優先されるかが主流ですが、オーストリアの流れはどうか知りたいです。

林業界はこの季節・月齢を重視する伐採に対してどういう理解が無理解な状況でしょうか?

世界各地での施工例があるようですが、各地の地形、気象条件に対して、冬(冬のない国では?)、月の影響は同じだと言えるものでしょうか?

日本では、国、行政、企業の間に何らかの力関係があり、特に自然環境や人の暮らし(食・福祉・教育・健康)などに対して、理にかなった良いものが国策に反映されず、また、国民の間にも広まりにくい土壌があると感じています。土壌は、国民一人ひとりの在り方によるものとも強く感じてはいますが、ホルツ100を日本の林業や建築業界に浸透させていくためには、その可能性や方策として、どのようなことが考えられるか、アドバイスを頂けたら有り難いです。

家を新築する予定もなく、その資金すらもないような私たちは具体的に一体何をしたらいいのでしょうか?

私は日本の状況について十分に知らないので、失礼を承知でアドバイスするつもりはない。しかし、個人的な人生経験を共有したいと思う: 最も効果的なのは、国家全体を変えようとしないことだ。最も効果的なのは、国家全体を変えようとすることではなく、単に自分自身を変え、それを一貫して実践することだ。私はモンドホルツで常にそうしてきた。私たちはしばしばクレイジーだと言われた。それでも今日、私たちは世界最高の木造住宅を造っている。

Q16. 木は体に生命にとても良い。万能である。放射能は、どれくらい防げるのか?
福島では、被爆の森の木々は、樹皮、外側に放射能がたまる性質がある。
伐採して燃やすと空気中に放射能がばらまかれる

この件に関しては、私は詳しい事情を把握していない。木が放射能を防ぐ能力をもっているのは想像できることであるが、一般的に使用されている建材もそうであるかについて私はまだ情報をもっていません。それを調査して、分析するのはとてもいいことだと思います。きっと、モンドホルツには他の建材にはない特性がここでも発見されるかもしれません。

Q17. 最近、頻繁に森林火災が報道されていますが、その要因は何でしょうか?
森から人類へメッセージがあるとしたら、どんなことだと思われますか?

森林火災にはさまざまな原因がある。世界中で最も多い原因は放火と不注意である。さらに、特に高温で乾燥した地域では、手入れの行き届いていない森林や管理されていない森林は、適切に持続的に管理されている混交林よりも危険であり、リスクも高い。 

もし森が私たち人間にメッセージを送っているとしたら、それはこうだろう:

私たちはあなたの友人であり仲間でありたい。しかし友情とは、互いを思いやり、互いのためにできるだけ多くの時間を割くことである。

つまり、私たちは森を大切に管理しなければならない。そこに種を蒔き、若木を植え、感謝して収穫し、利用しなければならない。人々が良い生活を送るためには、森とその恵みが必要です。森林を適切に管理することは、私たちの子供たちの良い未来を守ることでもあるのです。特に気候変動と変革の時代には、木のような家、森のような都市が必要です。

循環型経済、健康、そして自然から学ぶことは、私たち人間にとって不可欠なことなのです。 

どうもありがとうございました。

エルヴィン・トーマ & 亜希子(翻訳および質問2)

ありがとうございました

亜希子さんが質問をドイツ語へ翻訳、エルヴィン・トーマさんが回答くださり、それを亜希子さんが日本語へ翻訳してご連絡くださいました。

本当にありがとうございました。

参考資料

トーマ・ホルツ社の様々な建築プロジェクト

【トーマ・ホルツ社のHP】
https://www.thoma.at/referenzen/

*ドイツ語ですが、ブラウザの自動翻訳機能を使って日本語で見ることができます。

『外国語サイトを日本語で読むには』
https://chikyugurashi.com/foreign_lang_sites_in_japanese/

写真ギャラリー 

トーマ・ホルツ社HPより

エルヴィン・トーマさんのマイルストーン

「エルヴィンさんがたどった道」4ページの資料となっています。
トーマ社設立から現在に至るまでの道のりについて時系列で掲載されています。

アルレスハイムクリニック建設のパンフレット

ヨーロッパ初完全木造クリニック建設の例
「Klinik Arlesheim」アルレスハイム(スイス)がHOLZ100* で病院を完全新築します。Holz100-アクティブ天井などの最新情報を知ることができます。

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